サカタさんが前を通るたびに不思議な違和感がある不動産会社があるといいます。違和感の理由とは? 時代は変わり、会社も変わる。ではそこで働く人は、ちゃんとその変化についていけているのでしょうか。
1台もパソコンがないオフィスの光景を想像してみてください
私がよく使う道の途中に、少し年季の入ったビルがあります。1階に入っているのは、そのビルを所有していると思われる不動産会社。大通りに面しているガラス張りの執務室は調光用の縦型ブラインドで覆われていますが、それでも中が見えることも少なくありません。毎日のように前を通るのですが、いつも不思議な違和感がありました。
何かがおかしい。何がおかしいんだろう? ある日私は意を決して、その前をわざとゆっくりと通過し、違和感の正体をつきとめることにしました。すると……
「あ、パソコンがない!」
そうなのです。古いタイプの事務机の上には緑のデスクマット、ガラスのデスクカバーがまだまだ現役です。そして、なんと、フロアにある机という机の上に見事にコンピュータらしきものがありません。1台もない。古めかしい帳簿にすべて手で書き入れて、連絡は固定電話とFAX。パソコンがないために、執務室の中の見晴らし(というのもおかしな表現ですが)がとてもいい。本当にスッキリとしていました。
そうか! と、違和感の正体にたどり着いた満足感と共に「そういえば、私が働き始めた頃には、別にこう言う光景は珍しくなかったな」と、改めて不思議な気持ちになったのです。時代はどんどん変わっている、が、自分は時代に合わせて、その中身をバージョンアップできているのか? というお話を少し。