10万枚を10作品、支え合って息長く活動

【原田】会社に対しては売上というミッションもあります。どのような戦略で目標に向かわれるのですか。

【鈴木】僕は2002年に、RIP SLYMEでミリオンセラーを経験したんですが、この頃から“届け方”を意識し始めたように思います。例えば、同じ100万枚を人々に届けるのであっても、100万枚売れるものを1つ作るというやり方もあるし、20万枚のもの5作品、10万枚のもの10作品というやり方もある。unBORDEは、10万売れるものを10積み重ねるやり方で行こうと思っています。

【原田】最近は音楽に関わらず、物事のはやり廃りのサイクルが早くなっているように感じます。対策はありますか。

原田博植(はらだ・ひろうえ)さん。株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 アナリスト。人材事業、販促事業、EC事業にてデータベース改良とアルゴリズム開発を歴任。2015年データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー受賞。

【鈴木】一過性にならないよう、アーティストには長く活躍してほしいと考えています。いいアーティストだと分かっていても、いつヒットするかは読めません。どんなアーティストにも、アップダウンはある。そのため、複数いるアーティスト同士でアップダウンを支え合うのがいいと思っています。実際、unBORDEはそうなっていますね。

【原田】竜馬さんの仕事のモチベーションは?

【鈴木】元々映画や音楽のようなエンタメが好きなので、楽しく仕事ができていますね。中でも音楽は、赤ちゃんからお年寄りまで、ターゲット層がものすごく幅広いのでおもしろい。

地方に行ったりすると、道行く小学生を見て「もしこの人にまで作品が届けば、トータルでどれくらい売れることになるんだろう?」と想像することがありますね。「300万枚売るためには、どんな人に、どうやってどこで届ける必要があるのか」と、逆算することも多いです。