3. 報告も企画も議事録もチャットで終了!

そもそも私があまり資料を作らないのは、IT企業で働いているからかもしれません。たとえばメンバーとのやりとりはメールではなく、「スラック」というチャットを使っています。それにDeNAは資料を紙では保存しない文化なのです。なぜなら、いくらでもドキュメントを共有できるクラウドシステムを利用しているから。

iemo 代表取締役CEO/ディー・エヌ・エー執行役員 村田マリさん

だから必ず作る資料といえば議事録くらい。議事録さえあれば、あとはいらないんじゃないかな。「言った言わない」のトラブルを防ぐためにも議事録は必要ですけど、それもわざわざきれいに清書して書面に起こすのではなく、会議中にみんながいろんなことをワーッと書いたホワイトボードそのものを写真に撮る。それをチャットにペタッと張ればすぐに共有できるんです。

モバイルのサービスをやっているとたまにシステムのトラブルがありますが、それも画面をキャプチャーして「こういう不具合がありました」と一言添えて、チャットの問題解決専用スレッドに上げておく。これで報告完了。それを見た担当者がすぐに対応するようになっています。

企画提案も同じです。大上段に構えてカッコいい企画書を作るのではなく、アイデアを思い思いにチャットに投稿するだけ。こうなると資料の作り方のうまい下手はあまり関係なくて、本質的なアイデアの良しあしだけで判断するようになります。きれいな企画書とか、カッコいい企画書を作ることを目指すと、そこに意識が向いてしまうので、本質的じゃないと思うんですよ。本当は企画の内容をよくすることに時間を有効に使いたいですよね。

ただ私も凝り性なところがあるので、たまにパワポで資料を作っているときなど、つい色やけい線の太さ、フォントにこだわってしまうことも。でも将来的にはほとんどの企業で、紙の資料は作らなくなるような気がします。

村田マリ
iemo 代表取締役CEO ディー・エヌ・エー執行役員。2000年サイバーエージェントに新卒入社。05年コントロールプラスを設立し12年に事業売却。13年にiemoを設立。14年に同社をDeNAへ売却。執行役員に就任。

構成=長山清子