“三方よし”の経営とは

JPホールディングスは東京都、神奈川県、千葉県といった首都圏を中心に保育施設を運営しており、2016年3月末時点では159園の認可園および認可外園、55施設の学童クラブや10施設の児童館を保有しています。規模の大きさのみならず、サービス内容も充実させており、例えば英語・体操・リトミックの講座を取り入れたり、給食メニューには秋田産の「あきたこまち」を使用したりするなど、知育事業や食育事業も積極的に展開しています。

2007年3月期から10年連続で増収増益を続けてきた結果、JPホールディングスは飛ぶ鳥を落とす勢いで業界最大手にまで成長したのです。2016年3月期では連結ベースで205億円の売上および11億円の当期純利益を出しました。2009年3月期以降からは毎期のように当期純利益率が5%~6%の間で推移しています。これは企業が健全に発展していくうえでの適切な利益水準だと言えます。

【上】JPホールディングス 売上高の推移【下】JPホールディングス 当期純利益の推移

利益が出ていると、その分従業員への還元が行われやすくなります。一般的に給与は業界の相場や会社の業績にも左右されることが多いのですが、JPホールディングスは業績が好調のため、保育士の平均給与も業界平均よりも高めとなっています。2016年3月期決算説明資料によれば、2015年の保育士の全国平均は323万3400円であるのに対し、JPホールディングスの平均は354万1400円。全国平均より20万8000円ほど高くなっています。

顧客ニーズに合った保育サービスを提供することで顧客から感謝され、同業他社よりも高めの給料を支払って定期的に研修を取り入れることで従業員からも喜ばれ、そして社会にも役立つ――まさに「買い手よし、売り手よし、世間よし」の“三方よし”の経営を実現している会社だと言えます。それでは、JPホールディングスはなぜ“三方よし”を支えるだけの立派な業績を実現できたのでしょうか。