保育士は、さきほど解説した子どもの年齢・発達に応じて必要な保育内容も含め、保育の理論や技法、子どもの発達や心理、保健、栄養、児童福祉などについて学び、養成校を修了するか試験に合格するかして資格を取得しています。家庭での子育てとは違い、さまざまな個性をもつ子どもに適切な保育を実施するためには、保育士としての専門性を身につけていることが必要になります。

見学の際には、保育者の人数や資格の有無を質問してみてください。その場合、

(1)担任(そのクラスの指導計画を立て実行する常勤者)
(2)保育補助(担任を助ける補助者)

を区別して聞かないと、基準を満たしているかどうかはわかりません。

前述の人数の基準は、(1)の担任についての基準です。そして、認可保育園ではこれが全員、有資格者(保育士)でなくてはならないということです。実は、基準上は(1)を短時間保育士(パート保育士)でつないでもいいことになっていますが、保育者の入れ替わりが激しいのは子どもにとって負担ですし、安全面にも不安があるため、認可保育園も助成を受ける認可外保育園も、常勤者を担任にしているのが普通です(助成を受ける認可外とは、東京都の認証保育所や横浜保育室などのことです)。

(2)も担任に代わる役割を担う人は有資格者が望ましいのですが、それ以外の用務的な仕事や遊びの補助は、資格がなくても務まると思います。地域の高齢者のボランティア、子育て経験者や保育学生のアルバイトなど、いろいろな人材が保育に参加するのは、むしろ子どもにとってメリットがあるでしょう。いずれにしても、日本の配置基準は、諸外国と比べても少なすぎると言われており、補助者を入れないと「ゆとり」をつくり出せないのが現状です。

今、保育士不足で、保育士の配置基準を緩和しようとする動きがありますが、子どもにとって保育者の質こそが保育の質であることを念頭に置く必要があります。