本書より桝野氏の考え方を3つ紹介します。

1.肝心なことは「スピード」より「スタート」

例えば健康効果を聞いて、「自分も体にいいことを実践しよう」と考えたとしても、多くの人はすぐには始めません。なぜでしょう? それは「明日から始めよう」と思うからではないか、と桝野氏は言います。会社の帰りに思いたったら、早速1つ手前の駅で降りて、家まで歩けばいいのです、と。分かりやすいですね。

2.人間関係の秘訣は、まず自分から

多くの人が悩んでいる対人関係については、住職である立場から明確に禅の言葉を用いて答えます。

「和顔愛語(わげんあいご)」:常に笑顔で、相手を思いやる言葉、慈しむ言葉を掛けなさい。

「面授(めんじゅ)」:大切なこと、心は、顔と顔を合わせてでなければ伝わらない。

人間関係に限らず、自分自身の心、気持ちのあり方でいくらでも人生・生活は好転していくのだということも、禅の言葉と著者の説明で心に沁みるように入ってきます。

3.余計なことは調べない

私が一番この本で感銘を受け、実行したのが“情報の暴飲暴食をやめる”こと。

――「テレビ、パソコン、スマホ。現代人が得る情報のほとんどはこの3つを通じてといっていいでしょう。その情報量は膨大です。(中略)現代人は誘惑の海に溺れています。ここは意識して『発信源』から離れるしかありません」(行動的な1日をつくる「禅的習慣」より抜粋)

実践して数週間前になりますが、自宅のパソコンは帰宅後メールチェックをしたら電源を落とす、人と会う時は可能な限り携帯電話の電源を切る――不安に思うかもしれませんが、人との会話や読書は、心の栄養となり得るものが大きいと感じています。そして桝野氏は、ここでも言います。「やめる」ことも「すぐにやる」、と。

例えばあなたが今、「思い描いていた将来の夢に全然届かない」「日常に閉塞感があり苦しい」「上司が女性の使い方を分かっていない」「孤独を感じる」「仕事で評価されたい」などに悩んでいるとしたら、まずは整理整頓を心掛けましょう。そして「すぐ動く」「考える前に動く」ことを実践して自分に変化をつけてみませんか?

大切なことはシンプルに一歩踏み出す気持ち。

桝野氏は、早起きをする、掃除をする、約束の時間に遅れない、笑顔で接する……といった“当たり前過ぎる大切なこと”が、毎日の生活、ひいては人生の質を向上させるのだと禅の言葉を通して伝えています。考え過ぎるのではなく、無思慮になるのでもなく、習慣にしてしまえばいい。本書からシンプルだけれども強いエネルギーを感じてください。