有給を取らないほうが出世しやすい?
また、「病気や急用のために残しておいて結局、取りきれなかったから」とありますが、有給休暇を万が一のときの備えと考えるのは、日本ならではの感覚といえます。
仕事内容が決まっていて、ある程度自分のペースで柔軟に働けるヨーロッパの国々では、病気や急用のときは自分の裁量の範囲で休みを取ります。バカンスの伝統が根付いている影響もあるでしょうが、彼らは有給休暇を、休養やレジャーのためのものと考えているのです。
さらに、「上司が良い顔をしないから」「人事評価が悪くなる(出世できなくなる)から」という理由は、長時間労働が評価に直結していることを示しています。
実際に、有給休暇の取得率が低い人ほど昇進が早いという調査結果もあります。残業と同じように、有給休暇を取らないほうが、個々の社員にとってもメリットが大きいという日本の実態が映し出されています。
出世適齢期ほど長時間労働しがち
業界別に見てみると、有給を取らずに長時間働く人が多いのは、建設、運輸、製造、情報通信といった業界。男性の多い職場ほど、その傾向は顕著になります。
所属・年齢でいうと、正社員の30代から40代の男性、ちょうど中間管理職層にあたる人たちの労働時間が、極端に長くなっています。彼らは、年代的にも出世するかどうかの分岐点にあるため、「ここが力の見せどころ」とばかりに長時間労働で残業し、有給もできるだけ取らない。それを競っている部分もあるのでしょう。