味の素の大阪支社で営業グループのリーダーを務める岡村由紀子さんは、2度の育休を経てキャリアアップした。「人生の選択は、その時々で決めればいい」――。いま、後輩女性にいちばん伝えたいこととは?

人を育てながら結果を残すことの難しさ

味の素の大阪支社に勤務する岡村由紀子さんは、京都・滋賀・兵庫エリアを担当する営業グループのリーダーだ。同社の全国の営業部署の中で、女性のリーダーは彼女のみだという。

9人いる部下も、研修を終えたばかりの新人以外は全員が男性。2年目、3年目の若手もいれば、10年目の中堅、自分より年上のベテラン社員もいる。このように年齢層も経験もすべて異なるスタッフをまとめ上げるのは、簡単なことではないだろう。

味の素 大阪支社家庭用第2グループ長 岡村由紀子さん

オフィスを訪れると、岡村さんの机に置かれたノートパソコンに、数枚の付せんが貼られていた。目を引かれたのはそのうちの一枚――。

〈活〉

黒の油性ペンで力強くそう書かれていたのだ。

「これは、『みんなを活かす』という意味で書いたんです」

と、岡村さんは少し照れながら言う。

「私は2014年からリーダーになったのですが、人を育てながら結果を残すことの難しさを痛感させられました。それで年初に一年の目標を一文字で表し、胸に刻んでおこうと思ったんです」

彼女が所属する家庭用第2グループは、小売店に対して家庭用商品の営業を行う部署だ。「ほんだし」やメニュー用調味料の「Cook Do」、冬に向けたこの時期はキューブ状の鍋の素「鍋キューブ」のPRも欠かせない。

部下たちは日々、大型量販店から街の小さなスーパーなどを回っている。