マイナス金利は0.1%ではとどまらない!?

さあ、ここで日銀の立場からマイナス金利を決断した意図を考えてみましょう。マイナス金利とは、前回お話した通り、これまでの常識を破る政策です。これを承知で踏み切った日銀の思いとは、言うなれば「何が何でも世の中をインフレ期待へと導くのだ、たとえどんな副作用が出ようとも、あらゆる犠牲を強いられようとも、アベノミクスの金融政策目的はデフレ脱却であり、デフレ退治こそが日本経済再生の大前提である」とした上での、まさに不退転の決意と受け止めるべきなのです。

是が非でもインフレ前提社会を実現することが、日銀の喫緊な政策目的なのだと知れば、0.1%のマイナス金利では効き目が足りないとなった時、次はマイナス幅をどんどん拡大していくに違いないと考えざるを得ません。

銀行にお金を預けておけば安心という"預金バカ"では、豊かな人生を組み立てていくのもおぼつかないとお伝えしてきましたが、マイナス金利時代の到来が本格化すれば、現預金はもはやその足を引っ張るだけの存在とさえ言えるほどです。だからこそ、強烈なる意識の変革が求められます。

マイナス金利政策がどのような効果を実体経済にもたらすかは「神のみぞ知る」ですが、良くも悪くもインフレ必至時代の幕が開けられたのです。これまでインフレに打ち勝つための行動規範として、“長期投資のススメ”を説いてきましたが、もう悠長にステキな企業の選び方を勉強している暇もないほど、大きな変化が始まったのです。