――非正規雇用は50歳を過ぎると継続雇用してもらいにくいという問題もあります。そのため50歳以上のシングル女性の貧困も問題に。
【星野】私の会社にもいます。「頑張れば正社員になれるかもしれない」というふれこみで入ってきて、なれないままに年齢を重ね、「次の契約はない」みたいなことを言われてしまう女性が。
【江川】新しい道へのチャレンジを促す公的な職業教育が充実していないし、転職市場も欧米ほどには広がっていないことも問題ですね。
――男女の昇進スピードの違いについては、どう思いますか?
【江川】コンサルティング業界は偉くなる女性もいますが、皆、鬼軍曹みたいなんですよね(笑)。業績が悪くても2年分の収入を保証しろみたいな交渉を普通にしてくる人が結構いる。
【星野】私の周囲など、キャリアを積みすぎて、つまり偉くなりすぎて職が見つかりにくくなり、海外に行った女性もいっぱいいます。
【山本】ハイキャリアの女性が活躍できない労働市場はいびつですね。一方で、女性の非正規雇用の問題もある。まず政府は、職業教育を拡充させたり、お母さんのためのハローワークがあることや、その活用方法などをうまくPRし、必要な人に必要な情報を届ける工夫をすべきだと思いますね。
【星野】あとは、年齢や男女の格差を埋める施策が急務です。そして女性たちは、女性の中でも総合職、一般職、非正規などの区分け、分断がされてしまっているので、もっとお互いの立場を理解して歩み寄ることが必要ですね。
働く女性の貧困問題につきまして、下記により要望いたしますので、宜しくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。
(1)出産や育児を機にキャリアにブランクができたとしても正社員として再就職できるしくみをつくってください。
(2)ハローワークやキャリア教育の場が、もっと有効に活用されるように工夫してください。
(3)「正社員の夫+専業主婦かパートの妻」という古い時代の夫婦像を前提に話を進めないでください。
以上 第7回 座談会参加者 一同