現実に向き合い、責任を持つ

【原田】清水さんは今、取締役、本部長として、人を育てる立場でもあります。育成観点で意識されていることはありますか。

【清水】マネージャーとしては、本人が得意なこと、やりたいこと、会社の方針の3つの輪が重なる部分に、その人の役割がくるのが理想だと思います。そうすると、最も成長します。

【原田】好きなこと・得意なことを仕事にするのには、どうしたらいいでしょうか?

【清水】まずは、自分の目の前にある現実に向き合い、100%責任を持つことでしょうね。今、自由に自分の好きな分野の仕事をやっているように見える人も、かつてはそうではなかったはずです。たとえ自分がやりたいことに合致しなくしても、目の前の仕事に対して100%ベストを尽くすことを積み重ねていれば、5年、10年経ったときに、自分の好きな領域で、輝いて仕事ができると思います。一足飛びには行けません。諦めないことが大事です。

【原田】何を諦めないために踏ん張るのか、というのは、難しいですね。時に、楽だから動かないでいることを「諦めないで続けている」と正当化してしまうこともあります。諦めたくないもののために、厳しく動く、厳しく決断するということを繰り返していると、いつか形になってくる気がしています。

【清水】人生の岐路となる重大な決断は、「なぜ、今?」というような、非常に難しいタイミングで迫られるものです。それは神様から、「人生を賭けて大切にしたいことは何か」と聞かれているということ。逆に、そういう時でないと判断できないんだと思います。苦しいからこそ、そこで決断したことに対して責任を持てるんです。

■インタビューを終えて
清水さん、ありがとうございました。新しい仕事は、新しい世の中に伴ってどんどん必要とされてきます。ネットを通した感情の動きがより多く、細かくなってきた現代において、スタートトゥデイがCRM(Customer Relationship Management)をCFM(Customer Friendship Management)へと発展させることは、組織として新しい仕事を作る意思決定そのものです。企業と顧客のネットを通じたコミュニケーションに細やかな感情が必要になればなるほど、繊細で情緒的な関係性を生むことが得意な女性の活躍の場が増えていくのではないでしょうか。おしゃれな清水さん、また服の話を聞かせてくださいね。(原田博植)
原田博植(はらだ・ひろうえ)
株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 アナリスト。2012年に株式会社リクルートへ入社。人材事業(リクナビNEXT・リクルートエージェント)、販促事業(じゃらん・ホットペッパー グルメ・ホットペッパービューティー)、EC事業(ポンパレモール)にてデータベース改良とアルゴリズム開発を歴任。2013年日本のデータサイエンス技術書 の草分け「データサイエンティスト養成読本」執筆。2014年業界団体「丸の内アナリティクス」を立ち上げ主宰。2015年データサイエン ティスト・オブ・ザ・イヤー受賞。早稲田大学創造理工学部招聘教授。

構成=大井明子 撮影=岡村隆広