「べ瓶」に生まれ変わって、落語と真剣に向き合うように
破門になり1年が経とうとしたある日、同期の噺家から連絡があった。
「鶴瓶師匠が『あいつ、どないしてるんや』て、方々で言うてはるで。戻る気があるなら、ちゃんとコンタクトを取らなあかんのちゃうか、と。それを聞いて、いてもたってもいられなくなって師匠に手紙を書きました。今やっている仕事のこと。師匠に怒られてきた日々がどれだけ今の自分の糧になっているかということ……感謝の気持ちを書きました。戻りたくて戻りたくて仕方がなかったですが、やっぱり『戻してください』とは、よう書けませんでした」
数日後、師匠から電話がかかってきた。新宿の中華料理の店に呼ばれると、師匠夫人もいた。テーブルに座るやいなや、
「結論から言う。戻って来い」
「師匠と奥さんは、こっちの考えてることなんて何もかも全部分かってはるんや、と思いました。うれしい気持ちと申し訳ない気持ちで、涙が止まりませんでした」
メモ帳をビリッと破って、鶴瓶さんは「べ瓶」という名前を書いた。
「それまでは『瓶成』という名前やったんです。2011年12月30日、僕は笑福亭べ瓶になりました」