石井桃子さんの『春のあらし』
そんな話が忘れられなくて、その男子校で出題された素材文を、自分でも買って読んでみた。生涯独身を貫き101歳で逝去した、日本を代表する児童文学作家・石井桃子さんの『春のあらし』という文だ(河出書房新社『石井桃子創作集・においのカゴ』所収)。Amazonにはごく控えめな数のカスタマーレビューがあり、その1つは、どうやら今年の中学受験を終えた男子のお父さんによるものだった。
「息子が格闘した問題だと知って、読んでみました」の一文を目にした途端、「その通り、少年たちでさえこんな高度な問題と対峙して格闘したんだ……大人のアタシも頑張ろう」と涙がぶしゅーーと噴き出たのは、歳のせいだなぁ、まったく。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。