損益計算、2つの式ですっきり理解

損益分岐点売上高を知るために必要な式はたった2つだけです。

●1つ目の式:売上=総費用

損益分岐点売上高とは、“損(損失)と益(利益)がトントンで、プラスマイナスゼロになる売上高”でしたね。ですので、この売上高のときには、売上と総費用が同額、つまり売上=総費用という式が成り立ちます。

●2つ目の式:総費用=変動費+固定費

コスト(総費用)を変動費、固定費の2つに分けるというのは、連載の中で初めてお伝えする考え方ですが、これもとてもシンプルな話です。詳しく見ていきましょう。

2種類の費用、変動費と固定費とは?

2つに分けられたコストについて、まずはざっくりとつかみましょう。

●固定費=売上の有無にかかわらず発生する経費
●変動費=売上に伴って変動する経費

ほとんどの費用は「固定費的なもの」になります。人件費、減価償却費、水道光熱費など、「毎月だいたい○○円かかります」というつかみ方をします。皆さんの部署で経理処理をしている領収書やレシート、帳票を思い浮かべてください。こうした費目は固定費になります。損益計算書では、「販売費および一般管理費」の項目内のほとんどが、これに該当します。

対して、変動費というのは売上に比例してかかってくる費用です。「売上に対して何割(何%)かかるか」というつかみ方をします。どの費目が変動費に該当するかは業種によって異なります。例えば、運送業の燃料費は、“売上が上がる=運ぶ距離数が増える”ことになりますから、変動費です。製造業の材料費や梱包費など、小売業であれば仕入原価などが変動費に当たります。

まず売上から、その何割かがかかる変動費を引き、さらに固定費を引いたものが手元に残る“利益”になるのです。ということは、“損と益がトントンでゼロになる売上高”つまり、利益がゼロになるようにするには、固定費と変動費を売上でちょうど賄う必要がある、ということになりますよね。