人生は出会い。導かれるままに素直に進んでみる

そんな彼が日本でCDデビューをして13年目になる。アントワープ在学時代はヨーロッパ各地で打楽器奏者、マリンビストとして演奏活動をし、コンクールでの実績も積んでいたSINSKEさん。彼が今、日本で活動しているのには、またも人の導きがあった。

「一時帰国して参加した東京のステージを、ソニーのプロデューサーが観ていたんですね。そこで声がかかり、CDデビュー。実はこの時、日本の文化庁の海外奨学生制度にも合格していたんですが、ここでも僕は『導かれるほうへ行ってみよう』と、3年間の権利を放棄して日本へ戻ってきました。

そこであと3年海外にいたらどんな展開になったかなと思うことはありますが、後悔はしていません。人生は出会い。出会ったものに素直に導かれるのが自分の信念かなと思っています。逆説的ですが」

ステージのトークは苦手だと言うが、実際にステージに行ってみると「トークが面白い」SINSKEさんがいる。客へのサービス精神がなせる技なのだろう。それも「人の期待に応えたい」キャラの一部なのかもしれない。

「マリンバは、マイナーな楽器だからこその良さや可能性があると思います。今はどんな音楽もそうだと思いますが、よほど企画力があってエンタテインメント性があるか、もしくは超絶技巧かのどちらかでないと人は集められない。僕はステージの楽しみも加えて、もっと聴きに来てくれる人たちの間口を広げたい。作曲家として作品も残していきたいし、新しい演奏法にもトライしていきたいと考えています」