復職者向けのインターンシップ

日本に戻ってきてからも働きたい気持ちはあったが、子どもを預けて働けるのか、自信がなかった。そんなとき、グーグルのインターンシッププログラムを知った。

不動産業界担当 アナリティカルリード 瀬戸川紀子氏「ママだからって特別扱いされている感覚がないのがいいんです」

「インターンシップは普通、学生を対象にしていますが、グーグルではブランクのある人が対象なので、これならば引け目を感じなくて済むかもしれないと思いました」

与えられたのは、顧客のデジタル広告活用の結果を分析し、営業担当に改善案を提案する仕事だ。シンクタンク時代に培ったリサーチ力と分析力を生かせる。週30時間という決められた範囲内で好きなように勤務形態を選ぶことができたため、週に5日間、午後4時半までの短時間勤務を試した。

最初は会社近くの保育園に子どもを預けるしかなく、赤ちゃんと一緒に電車通勤するのは不安だった。あまりに混んでいるときは会社にその旨を連絡して、一本、電車を遅らせることもあった。慌ただしく過ごした16週間だったが、子育てしながらでも続けられる環境と仕事内容であることがわかり、再就職する決心がついた。

「会議をしていても、子どもを迎えに行く午後4時半になると、マネジャーが『時間じゃないの?』と声をかけてくれます。気を使ってもらっているとは思いますが、ママだからって特別扱いされている感覚はありません」

グーグルがここまで徹底して働く女性を応援する背景には、多様性こそグーグルの命であり、イノベーションの源泉であるという信念がある。

本社イノベーション&クリエイティブ プログラム 担当統括部長 フレデリック・G・プフェールト氏「社員を仕事から切り離すのも、マネジャーの重要な役目です

「画期的なサービスを生むには、徹底的に顧客の気持ちになって考えることが必要であり、そのためにはユーザーの多様性に合わせた社員構成である必要があります」と話すのは、アメリカ本社のイノベーション&クリエイティブプログラム担当統括部長、フレデリック・G・プフェールト氏だ。

彼自身も子どもが2人いて、いずれの場合も12週間ずつの育児休暇をとった。この11月に3人目が生まれる予定だが、「今度も率先して育児休暇をとるつもりだ」と言う。