利益の源は徹底した差別化とコスト削減

売上-費用=利益ですので、利益を伸ばそうとすれば売上を増やすか費用を減らすかしかありません。未来工業は売上を増やし、かつ費用を減らすために工夫を凝らしています。

まず売上を増やすうえでは、創業時から、下請けはやらない、自社にしかできないものにこだわるというポリシーを貫いてきました。他社にはない商品をつくり、徹底した差別化を図ることで売上を伸ばしてきたのです。

実際に、2015年3月期の有価証券報告書の【研究開発活動】によれば、年間の研究開発総額は2億円で、2015年3月期末の取得済産業財産権の総数は3579件もあります。売上高の規模からすると研究開発費はそれほど多額ではありませんが、産業財産権の総数は創業50期目の会社からするとかなり多いです。平均して年間あたり71件もの産業財産権を取得していることになりますので、5日に1件のペースです。未来工業は社員からの改善提案に対して、その採用、不採用を問うこと無く、全て1件500円で買い取る制度を設けることで、社員に常に考える習慣を身につけさせてきたのです。

一方、商品開発や価値のあるところにはお金をかけるものの、「ムダ」と思われるようなところではとことんお金を節約するのが未来工業のやり方です。未来工業の連結損益計算書をみると、販売費及び一般管理費の内訳として最も多いのが人件費で、その次が製品を運んだりする際の運賃となっています。それ以外の費用は金額的な重要性が乏しいことから「その他」という科目に集約されています。

一般的なメーカーであれば本社の固定資産にかかる減価償却費や事務所の賃借料、製品を売るための販売コスト等もある程度発生すると考えられますが、未来工業はそれらにあまりお金をかけていません。お金をかけなくても済むようなビジネスモデルを構築しているからです。