年間休日140日、残業禁止の未来工業。それでも社員には地域水準で最も高い給料を支払い、かつ優秀な経営成績を維持しています。有価証券報告書を通じてそのビジネスモデルに迫りながら、「働き方」について考えていきます。
年休140日+有給40日で、年の半分を休める会社がある!?
どの会社に就職しようかと考える際、給料は大きな要素となります。平均年収1300万円のA社と平均年収600万円のB社があった場合、おそらく多くの方は前者に魅力を感じるのではないでしょうか。しかも、A社が華やかなテレビ局でB社が地味な電材メーカーだとしたら、なおさらA社に軍配が上がりやすいことでしょう。ところが勤務時間という要素も加味すると、判断が一転することがあります。
連載第14回目「なぜテレビ局は利益率が低くても社員の給料が1300万円超なのか?」(http://woman.president.jp/articles/-/953)では、民間放送キー局の平均年収がずば抜けて高い理由についてお伝えしました。参入障壁が高いからと思われることが多いのですが、実は勤務時間が長いことが大きな要因です。単に免許制の業界の給与が高いということであれば、電話会社や電力会社も年収が高くなるはずです。ところがNTTドコモや東京電力などは社員の平均年収が700万円~800万円台で、テレビ局ほど高くありません。番組制作が早朝から深夜にまで及び、勤務時間が不規則で緊急事態が起こればいつでも呼び出されるという特殊な勤務形態も年収に影響しているのです。
このように残業時間を含めた勤務時間まで考慮すると、見方が変わってきます。ここで、先ほどのB社についてもう少し条件を付け加えるとします。
年間休日が140日でそのうえ40日の有給休暇まで付与され、最大で年の半分近く休むことができます。就業時間は8時30分から16時45分までの7時間15分で日本一短く、残業禁止で仕事の持ち帰りも禁止です。その上、育児休暇は3年間も取れて、しかも何度でも利用することができます。
これを知ると感じ方が変わるのではないでしょうか。そんなB社の平均年収は647万円(2015年3月期)。休みが並はずれて多いのに、給料はサラリーマンの平均以上。夢のような話ですが、それを実現させているのが未来工業という会社です。その経営実態を有価証券報告書から見ていきましょう。