夫婦で煮詰まる悪循環を防ぐ第三者の存在
――サービスを始めたきっかけを教えてください。
【石川】自分自身の妊活の経験からです。私たち夫婦は1年ほど妊活に取り組みましたが、その間に妻とケンカをすることも多くありました。病院に通うまでにも、約8カ月間かかっています。また、当時、医療系の情報を扱う会社に勤めていたのですが、私と同様に妊活や不妊治療について多くの人が悩んでいることを知り、そういった人の背中を押すサービスが必要だと考えました。
――差し支えなければ、石川さんが妊活で感じた苦労を教えてください。
【石川】私たち夫婦の場合、世の中の多くの夫婦とは逆かもしれませんが、私の方が妊活について積極的でした。いろいろと情報を調べて伝えたり、本やグッズを購入したりすることが多く、妻にとってはプレッシャーになっていたのです。そして感情的になり、何度もケンカしましたね……。妊活は取り組み方に絶対的な正解というものがないということもあり、妻は生理が来るたびにそれまでの努力がリセットされてゼロになってしまうと感じていたようでした。
――石川さんは第三者に相談したのでしょうか?
【石川】しませんでした。というか、「相談する」という概念がありませんでした。妊活は夫婦だけでやるものと思い込んでしまっていたのかもしれません。
妻は何人かの友達に相談しており、その人たちから聞いた少数の意見に信頼を寄せていたようでした。私からすると “母数n=少数のアンケート結果”でしかないのに、うのみにしてしまうのはどうなのか、と感じていました。情報に対する認識の差もケンカの原因の1つでした。
――サービスに第三者を介入させるという発想は、石川さんの体験からきたのですね。
【石川】自分の体験を振り返り、妊活を夫婦で前向きに捉えるためにはどうすればいいかと考えた時に、「第三者による、観点が異なる複数のアドバイスが重要」ということに思い至ったのです。世の中には情報がたくさん転がっていますが、特定の情報にのめりこんでしまうとマイナスの影響となってしまうこともあります。どれが正しいかも分からないですし、知らず知らずのうちに都合のいい情報ばかり集めてしまいがちです。そこに第三者が入れば、冷静に、適切に妊活を進めることができるのではと考えました。