中性を目指すアメリカ女性、女であることを忘れないフランス女性
アメリカ人男性は、職場での女性との接し方にとても神経質です。人事部ににらまれるようなことは絶対避けたいので、男と女は違うものだという事実を徹底的に無視しようとします。職場では性別や性差という考え方を頭の隅に追いやり、女性を男性とまったく同じように扱おうと必死です。
アメリカ人女性にとっても、男女平等という法律はありがたいものです。男性と同じ仕事をしていれば同じ給料を払ってもらいたいし、プロとして、その能力を正当に評価してほしい。
でもその反面、自分たちの最も重要な部分――わたしたちは女性であり、男性とは違うということが、ないがしろにされているという矛盾した感覚もあるのです。
アメリカ人女性は仕事で認められようと努力を重ね、また認められるためには中性的な服装をすべきだと教えられてきました。というわけで、わたしたちが職場に着ていくのはパンツスーツなど、基本的に男性っぽいファッションです。そして夜、アメリカン・デートに出かけるときになってその反動が出てしまう。職場で女性らしさを押し殺しているぶん、デートには胸の大きくあいた超ミニのカクテルドレスに15センチのハイヒール、なんてことをやってしまうのです。
スイッチオンか/オフか、極端に走ってしまう。
これでは自分のためになりません。
フランス女性は、自分が女であるということをどんなときも忘れません。パリ5区の自宅近くを散歩しているときも、職場でミーティングをしているときも、自分が女性だという感覚はずっともっています。ピンクの花柄やフリル、レース、リボンなどから連想されるような女性らしさという意味ではなく、“女である”本質をちゃんとわかっているという意味においてです。
ビジネスに適したベーシックな服装にアクセサリーをひとつだけつけて、主張しすぎない範囲で女性らしさを表現します。おしゃれなブローチをつけたり、男っぽいジャケットにセクシーなスカートを組み合わせたりしてみる、スリムなパンツにハイヒールを履くなど、ほんの少し色っぽさを毎日のビジネス・ファッションに取り入れ、融合させるのです。