クライアントとのランチミーティングをセッティング。おしゃれな女性を招くなら、料理はもちろん、アクセス、雰囲気、デザートまで完璧な店選びができれば、あなたの株も急上昇。そんな良店を、dancyu誌で活躍する、食いしん坊ライター・鹿野真砂美さんが紹介します。

ビジネスランチとはいえ、堅苦しい雰囲気の中では会話もイマイチ盛り上がらない。適度にかしこまった空気を残しつつ、リラックスできる空間は大事。中国料理店の使い勝手の良さは、そんな雰囲気を自然と醸し出してくれるところだと「私流ビジネスランチ。絶対にハズさない店選びのポイント4つ」で述べたが、今回、紹介する青山「礼華 青鸞居(らいか せいらんきょ)」も、そんなお店の一つ。

外苑前の交差点からすぐにも関わらず、少し奥まった静かで落ち着いていた店構えは、前回書いたビジネスランチの4条件「立地がいい」「個室がある」「気持ちのよいサービスとホスピタリティ」「予約可能なランチ」を全てクリアしている。

店内へ入ると、まずはTea Barがお出迎え。さまざまな茶器がずらりと並んだ壁面は、台湾から直接買い付けるなど、中国茶の品揃えにも定評のあるこの店ならではの設えだ。

66席の店内は、ダイニング40席のほかに5つの個室があり、2名から16名まで人数に合わせてパーテーションで区切り使用することが可能。白と木目を生かした、すっきりとした空間で目を引くのは、青銅器を模した壁面の重厚な趣き。また、テーブルセッティングやクッションなどの小物類には、赤や金のシノワズリーな刺繍を施したファブリックがそこかしこにアクセントとして使われていて、華やかさを添えている。

料理は、オーナーシェフの新山重治さんが腕を振るう、ヌーヴェルシノワ。上海料理をベースにした伝統的な中国料理に、日本の食材も取り入れた現代風中国料理を表現する。繊細で軽やかな味わいは、食後感もすっきり。しっかりと食べても胃が重たくならず、午後の仕事への活力になるはずだ。

今回、取材をした3500円(税別)の杏子コースは、前菜からデザートまで6品で構成される。前菜の盛り合わせは彩りも鮮やか。続く海鮮や肉料理なども、小さなポーションでバランスよく組まれた皿は、どれも香りが印象的だ。中国醤油の独特の香り、バラのお酒の香り、鮮烈な山椒の香り……。あっさりとした料理を、これらの香りの豊かさが満足感へとつないでくれる。女性を招くのであれば、食後を飾る名物の杏仁豆腐は絶妙なやわらかさで、喜ばれること請け合いだ。

「年に一度、台湾、香港、シンガポールや四川などに出向き、食材の調達や現地の最新の動向を見てきます。繰り返し通うことで、日本人のやり方とは違うところが見えてくるんですね」と新山さん。

コース料理は、約1カ月半をめどに内容が入れ替わる。訪れるたびに、季節ごとの食材を味わえるのはもちろん、中国料理の今を感じることができるのも楽しみの一つだ。空間、料理ともに、繊細で柔らかな感覚。ビジネスの場としても、女性らしいきめ細やかなもてなしに、一役買ってくれるはずである。