富裕層や富裕層予備群たちは、「これは!」という人がいたら、まずは酒食を共にすると言います。その際のもてなし方は、私たちにもまねできそうなことが多いことに気づきます。一つでも実践してみては?
※写真はイメージです(写真=iStock.com/JANIFEST)

「割り勘で」と言う富裕層はほとんどいない

はじめてデートに誘うときの口説き文句は、たいていの場合「一緒に食事でもいかがですか」ですし、相手が異性でも同性でも、初対面で話が弾むと、帰り際にどちらからともなく「今度飲みに行きましょう」と声をかけるのも、わりとよくある光景です。

その人ともっと親密になりたいときは、一緒においしい料理やお酒を共にするのが効果的だと、本能的に知っているからそうするのでしょう。これは万国共通。実際、酒食を共にするとコミュニケーションは深まり、相手との距離は確実に近くなります。だから現役の富裕層はもちろん、富裕層になるポテンシャルのある人は、ビジネスでもプライベートでも、これはという人がいたら酒食に誘います。

そのとき彼らは、割り勘にすることはありません。すべて彼らのおごりです。むろん相手が同期や同僚、友達同士なら割り勘でよいですが、大切な人を誘うときは、「あなたと一緒に食事という時間を過ごしたい」という意思表明ですから、当然費用は自分持ちです。

私も、企業経営者や投資家など多くの成功している人と食事をする機会がありますが、「ここは割り勘で」という人にはほとんど出会ったことはありません。彼らはこのあたりの振る舞いは洗練されています。

気持ちよくオゴり、気持ちよくオゴられる

ある尊敬する経営者と一緒に食事をしたときのことです。夜も10時をまわったところで、そろそろ帰りましょうとなりました。すると彼はスタスタと店から出ようとします。あれっと思って聞くと、「ああ、もう支払いは終わってるよ」と涼しい顔。彼は、トイレに立った時に支払いを先に済ませていたのです。

「かっこいい!」と思って、それ以来、私も人を誘う際には、同じようにしています。でもこの方法がポピュラーになると、誰も食事中にトイレに行けなくなってしまいますね(笑)。

しかし、こじんまりした店ではレジが丸見えで、この方法は使えません。そんな環境でもいかにスマートに支払いをするかが問われます。レジの前で伝票を奪い合いながら、「ここは私が払います」「いえ、私が」とお互い主張し合う光景は、傍から見るとみっともないですからね。

でも、もしそういう状況になったら? そこはすっぱりさわやかにオゴられます。そして、「今日は本当にごちそうさまでした。ぜひ次は私の方で一席設けさせてください」と言えば、お互いすっきりします。

それにこの方法は、関係をそこで終わらせないための工夫でもあります。貸し借りを作ればまた会う口実ができ、より仲良くなることができるからです。

結局はオゴることになりますから、それなら先に貸しを作った方がいい。だから多くの成功者は、テーブルに置かれた伝票をサッと持ち店員を呼ぶか、店員が伝票をテーブルに置いた瞬間に自分の手元に引き寄せる、という方法をとるのです。