最高のサービスが受けられる「上客」になるには

1つ目は、一度にドカンと使うことです。1回1万円で月に10回来るよりも、月に1回でも10万円使う客の方が好まれるのです。なぜか。

まず、印象に残ります。次に、頻繁に来てくれても小さな金額では、店にとってのうれしさは小さくなりますが、一度に大金を払ってもらえるとうれしい。

そして店側は、「この客は他の店でも同じように気前よく使っているだろうから、他の店に行く回数を減らして自分の店に来てもらいたい」と考えます。だから、店側は必死で接客する。裏メニューも出す。一品サービスしてくれる。だから、頻度を減らしてでも一回あたりに使う金額を大きくする、というのが1つ目の方法です。

2つ目の方法は、初めて行く店では、料理を最初から大量に注文することです。一品ずつ注文するのは「財布と相談しながら注文するしょぼい客」と思われます。しかしいきなり一気に大量注文すれば、目立つうえに店側は「羽振りの良い客」と思い、最初から上客になれます。

そして、店側もリピーターになってほしいと考えるから、サービスにも力が入るわけです。

ただし、これは居酒屋やカジュアルダイニングでしか使えない方法です。本来、「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べる」のが料理と料理人に対する礼儀であり、おいしく食べる基本です。一気に注文するとすぐには食べきれず、冷めたり乾いたり火が通りすぎたりしてしまうので、料理に自信がある店では「料理の味わい方を知らないヤツ」と思われ、逆効果になる危険性があるからです。

チップよりも有効な方法

最後に3つ目の方法。

高級店などに行く場合、男性なら仕立ての良いスーツをパリッと着こなし、女性ならドレスを着て行く。そして、一番高いコースを注文し、高めのワインを注文する。つまり、お金を持っていそうな雰囲気を演出するのです。

すると、店側はリピーターになってもらいたいから、サービスが行き届く。チップよりも断然有効です。お店を出るときもフロア長、料理長がそろって店の外まで見送りに来ます。

しかしこれは、店側にとってもメリットがあります。なぜなら、客にしてみればある種のプレッシャーになるからです。

つまり、「こんなに良くしてもらったら、次も来ないわけにはいかないな」「わざわざ見送りされて頭まで下げられれば、次からちょっと一杯で帰るわけにはいかないな」となります。外まで見送っても、わずか数歩、数十秒。この差が富をもたらしてくれることに気づくかどうか。

もちろん、すべての店でうまくいくとは限りませんが、私がいままで見てきた富裕層のこれらの行動をまねしたところ、かなりの確率で「上客」になれますので、試してみる価値はあると思います。

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