自分が得たものを、次世代に引き継いでいきたい
今回はメンティとして参加した野尻さんだが、本業の医師としても後輩を育てる立場になっている今、今後は新たな自分の役割を感じているという。
「医者は、研修医として先輩医師に付いて学ぶのが当たり前で、そうしてスキルや経験を引き継いでいきます。徒弟制のようなところがありますが、そこには男女は関係ない。今回メンターとして参加された久能祐子先生は、分野が近いこともあって大きなインスパイアをもらいました。その久能先生に『野尻さんはもうメンターになれるのよ』と言われ、自覚が生まれました」
医者として、男女関係なく後輩医師へ助言し、指導をしてきた野尻さん。今回、ジャネルさんをはじめ、さまざまな業界を牽引するメンターたちに多くの刺激を得たようだ。その様子をみて、これまでもメンターとして、何人もの女性たちをサポートしてきたジャネルさんは、メンターの役目をこう語る。
「メンターとは、サポートとインスパイアを与えるものだと思っています。メンティをサポートしていきながら、刺激を与える役割になれる。私も数人のメンターに救われてきましたが、メンターは私の中にある可能性を見つけてくれたと今でも感謝しています。私は今回のプログラムで、メンティからも学びたいとこの役を引き受けました。野尻さんとは新たなものを生み出していけると思っています」
今回の経験を通して、野尻さんは今後、自分もアドバイスをしていく立場になりつつあると実感するきっかけとなった。こうして自分が受けたものを次世代に引き継いでいく、そんな新たなスタートにもなったようだ。
撮影=たかはしじゅんいち