STEP6:採寸で既製服とのギャップを補正

ジャケット、スカート、シャツのデザインを決めた後、採寸に移ります。首周りとゆき丈、袖丈など、細かく測ります。「身長も低いし、腕も短いので、シャツは袖を折って着るのが当たり前でした。なんでオーダーを思いつかなかったのかな……」と話すT部員。この日着ていた既製品のシャツの袖は、理想の丈より7センチも長いものでした。堀越さんは「既製品は、少し長めに作られていますから。また、腕の長さが左右で異なる人も多いですが、オーダーシャツならそちらにも対応できます」と言います。

「寸法が同じだとしても、人によって肉付きや顔の大きさなどが異なりますので、“お似合いの一着”は違ってきます。だからこそ、テーラーは大変な仕事ですが、楽しいですよ」と言う言葉を胸に、出来上がりを待ちます。

最高の着心地、自分だけの1着

注文・採寸をしてから1カ月半後、再び東京・神田のOGGI HOUSEを訪れました。オーダーなので、さぞや完璧なものが出来上がっているに違いない、と期待したいところですが、洋服は「着てみないと分からない」もの。体を入れてみて初めて気付くことも多いといいます。T部員の“初めてのオーダースーツ”の場合はどうでしょうか?

試着第一声は「うわー、気持ちいいですね! 体に合った服ってこんなに楽なんだ」。まさにT部員の当初の希望「シャープな印象」のスーツが出来上がりました。クールさと女性らしい柔らかさの両方を醸し出しています。

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【写真左】袖丈の採寸。既製品は、理想の丈より7センチも長かった。女性の場合は、ジャケットの袖口かシャツがのぞかないのがスマート。ジャケットに合わせてシャツを仕立てておくと、グッドバランスの組み合わせとなる。【写真右】試着。既製品にはないフィット感に大満足。

タイトスカートもぴったりの仕上がりです。「“似合わない”のではなくて、“体に合っていなかった”から、諦めていただけなのですね……」(T部員)。すっきり背が高く見えますし、本人が気にしていた「お尻が大きい」という体型の悩みを感じさせない着姿です。

着る際は、体に対してシャツの前中心(ボタンの位置)、タイトスカートの中心(後ろ中心の線)がずれないようにすることがポイントです。「でも、タイトスカートって、はいて歩いているといつのまにか回っちゃうんですよね……。どうしたらいいのでしょう?」(T部員)。これに対して堀越さんは、「それは確実にサイズの問題です。体に合ってなかったからですよ。ウエストとヒップがフィットしていれば、回らないものです」と説明してくれました。試着の結果は大満足。今回は直しの必要はありませんでしたが、もし着心地で気になる点がある場合は、試着の時点で相談しましょう。