地方に移住すると、収入は減るが、住居費は確実に安くなる

地方に移住・転職する場合のメリット、デメリットを考えてみましょう。仕事に関しては、都市部より収入は減りますが、勤務時間は短くなる傾向ですし、通勤時間も短くなり、自分の時間が増えるはず。農林水産業などを希望する方は、地域性をよく見て、自分が携わりたい一次産業がある場所を選択しましょう。看護師、保育士、介護関係の資格を持っている人などは、どこに移住しても一定のニーズがある仕事です。

住まいに関しては、都市部よりかなり安い家賃で広いスペースに住むことができます。移住の場合は、住居費に補助金がでる自治体も多いので、調べてみましょう。地方では車での移動が基本になりますが、駐車場代もあまりかかりません。

農作物や海産物の生産地が近い分、食費は若干低くなりますが、衣類や日用品費は都市部とあまり変わりません。近所の人から野菜などのおすそ分けをもらったり、自分で家庭菜園を始めれば、食費も節約できます。

子どもがいる場合に大きく変わるのは、教育費。小学生のうちから塾へ通わせたり、私立中学受験をすることは少ないので、その分を大学進学費用に回しましょう。

定年後の移住なら、会社にしばられずに考えられる

最初から移住してしまうと、予想外の事態に対処できないので、まずは、体験ツアーやちょい住み体験で、お試ししてみましょう。地域性がわかってから移住・転職したほうがうまくいきます。

退職後に移住を考えている場合も、今のうちから体験ツアーなどに行って現地の人と交流を始めておくと、スムーズに移住できるかもしれません。定年後の移住なら、あまり仕事にとらわれずに場所が選べます。

都市部にマイホームがある人は、それを貸して賃料収入を得ながら地方に住むと、その差額分収入アップになります。老後に年金収入で暮らしていくことを考えると、やはり生活コストが安くなる地方は魅力です。

20~30代も、退職後の世代も、何が何でも都市部に住むという志向を辞めて、もっと柔軟な発想で地方への転職・移住の可能性を考えてみましょう。新たな働き方に出会えて、新たな人生が始まるかもしれません。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。