驚きの利益率、その理由は原価にあり

まずは業績をチェックしてみましょう。有価証券報告書によれば、クックパッドの2014年12月期の連結売上高は67億円、当期純利益は15億円です。売上高の規模からすると上場企業の中ではそれほど大きくないのですが、当期純利益率が22.7%もあることから、かなりの高収益企業だと言えます。また、決算期の変更で、2014年12月期は決算期間が9カ月だったのにもかかわらず、前期比で売上高が増えていることからは、成長率の高さもうかがええます。

次にクックパッドの業績推移を見てみましょう。2006年4月期から2014年12月期までの10期分の連結売上高及び当期純利益率の推移は図の通りです。

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【上】「売上高および利益率の推移」、【下】「売上割合」(編集部にて作図)。利益率はビジネスモデルによって異なるが、一般的に純利益率は小売業において数%程度、IT業は10%以上と言われる。クックパッドの利益率がいかに際だったものかが分かる。利益率については、連載第3回「利益率から企業の『景色』を見る!─売上や利益より重視すべき理由」にて詳しく述べている(http://woman.president.jp/articles/-/409

まだ巨大な規模とは言えませんが、売上高の成長率からは勢いが感じられます。また、当期純利益率は低いときでも20.1%、高いときでは32.4%とかなり優秀です。

高利益率の最大な要因は、レシピなどのコンテンツが投稿者によってもたらされている点です。こうした、ユーザーが内容を生成していくメディアのことをCGM(Consumer Generated Media)といいます。クックパッドのようなCGMでは、自社でのコンテンツの作成費がほとんどかからないため、原価率はたったの数パーセントに過ぎません。一般の企業であれば原価率は数十パーセントに上ることが多いため、原価が安い分だけクックパッドは利益率が高くなるのです。

さらに目を見張るべき点は、クックパッドはレシピの投稿者に対して“アメ”を与えるどころかお金を取っていることです。有価証券報告書で開示されている業績などの概要を見れば、売上高の約半分を会員事業が占めていることが分かります。広告事業による収入は全体の3割程度にとどまっています。
 
 実はクックパッドにはプレミアム会員制度があります。プレミアム会員は無料会員と違って、レシピを人気順検索や絞り込み検索できたり、「話題のレシピ」を過去分全て閲覧できたりすることができます。そのため、より自分に合った満足度の高いレシピを手に入れられるのです。クックパッドは毎月280円(税抜)の会費をプレミアム会員から得ています。会員事業の収益はその分のお金です。月額280円ということは年間で3360円。そしてプレミアム会員が2014年12月期には150万人を突破したということから、単純に会員数150万人に年間報酬の3360円を乗じると50億円の売上になります。月々たったの280円でも会員数が多ければ売上がかなり大きくなるのです。

「プレミアムサービス」と呼ばれる特典に魅力を感じて有料会員となる人が後を絶ちません。しかし、なぜレシピを投稿する人はお金をもらえないのに、中には会費を支払った上で、レシピを投稿し続けるのでしょうか。そこにクックパッドの秘密があります。