仕事がパッとしないと、「自分には向いていないのでは?」と悩んでしまうことはありませんか。しかしすぐに諦めてしまうのは危険です。商業コンサルタント・島村美由紀さんは、仕事の適性の見極め方、その伸ばし方を、「美人の作られ方」になぞらえます。さて、その心は?

適性は周りが決めてくれる

若い人の中には入社後短期間で、「この仕事は私に向いていない」「自分には適性がない気がする」と安易に口にする人が多くいます。しかし、今の仕事が向いているか、向いていないかの判断は、自分ではなく周りがするものです。

自分には向いていないと思い込んでいる仕事、周りの人たちは全く違うように捉えているかもしれません。その話を「美人」にたとえると……。

私も20代後半にシンクタンクから小売業の会社に転籍を命じられて、図らずも赤字会社で経営者のような業務をこなすようになりました。私は経営に関しては知識も興味もなかったのですが、昔からファッションには強い興味があり、シンクタンクでも他人とは少し変わった格好で仕事をしていました。そこで小売企業への転籍を命じられたのだと思うのですが、幸運にも、私はこの赤字会社を3年で黒字にすることができました。

私が入社する前は仕入れたものをただ売っていただけでしたが、自社でプロデュースした製品を作って売るようにしたところ、黒字が出るようになったのです。私が転籍したばかりの頃は完全な赤字会社でしたので、社員にはボーナスが出ず、私はそれを解消したい一心で必死に働きました。

私は自ら志望して小売会社に転籍したわけではありません。ただ結果からするとそれは大成功しました。ここで私が自分には興味がない仕事だから、と断ってしまっていたら、自分がマネジメントに向いていることに気づくこともなかったでしょう。

考えてみれば、私は学生時代から集団のまとめ役をすることも多く、そうした素養が多分にあったように思いますが、自分では、マネジメントに向いている、とはまったく気がつきませんでした。このときの経験もあり、私は自分の適性を決めてくれるのは自分でなく周囲なのだ、と思うようになりました。