「先にお金を払えば、後で大きく戻る」とだます、劇場型詐欺
このような金融詐欺は「劇場型詐欺」の部類で、少し金融知識があって、「私は大丈夫。だまされないわ」という人も、「今、権利を買えば、後で確実に高く売れる」という儲け話に、コロッとだまされてしまうのが特徴です。
「劇場型」というくらいですから、詐欺師は役者です。今回、実際に詐欺の電話を受けてわかりましたが、大根役者ではなく、本当に魅力的なストーリーでニセの商品を説明していました。あれならだまされる人がいるのもうなずけます(感心してはいけない!)
消費生活センターなどに寄せられる「劇場型勧誘」の消費生活相談件数は、平成24年度以降月平均で1500件以上もあり、被害者の多くは、在宅時間が長い高齢者や、女性だそうです(表参照)。
「劇場型勧誘」の手口はますます巧妙化・悪質化しています。複数の詐欺師が警察官や弁護士、公的機関の役人、大手証券会社の重役などさまざまな役を演じて、偽のパンフレットや通帳などの「小道具」があるのはあたりまえの世界。
詐欺集団が「カモ」を見つけたら、よってたかってお金を奪い取っていくのです。
典型的な手口は、電話勧誘を行う前にパンフレットを送りつけ、電話で購入を勧誘し、その後、別の人物が違う業者を装って電話をしてきて、その金融商品がいかに儲かるかなどを説明する、など。
中には、未公開株への投資パンフレットが送られてきたあと、消費者センターを名乗る女詐欺師から、「最近、未公開株パンフによる詐欺が多発していますので、注意を呼びかけています」といい、「うちにもA社の未公開株を買わないかときました」と伝えると、「詐欺の報告はB社なので、それは大丈夫かもしれません」と安心させ、大半が2段階、3段階で人をだますそうです。
「劇場型詐欺」にだまされない鉄則は、
●「先にお金を出すと、後で儲かる」といった儲け話は絶対に信用しないこと。
●「特定の人のみ」「期間限定」「高く買い取る」は詐欺。
●未公開株や社債、信用取引など、金融商品の新規顧客の電話勧誘は100%ありえない。
●「金融庁」「財務局」「消費生活センター」など公的機関を連想させる名前は詐欺と思って間違いなし。
そして、いちばんの対処法は、
●話の途中でも、お金の話が出たら電話を切る。
●警察の名前を出す。
です。