[C]の人の性格傾向と心理分析
対人心理のバランスがよいタイプです。ほとんどの人と上手に距離を取れているあなたでも、「気難しい人だ」と前もってうわさを聞いている人と初めて会う場合は、距離の取りかたが不安になりますね。そして緊張します。既に顔見知りの相手でも、会った瞬間に不愉快そうな顔をされると、どう距離を取ればいいか分からなくなり、急に不安にもなりますが、それはごく一般的な受け取り方です。

対策
「失敗したらあなたのせいよ、成功したら私の功績」と言わんばかりの自己中心的な人が最近増えているようです。そんな人と話をしていると「私の人脈づくりのコツなどを話したら、この人はきっとすぐにマネるだろうな」と思い緊張しますね。こういう相手には遠慮は無用。さっと距離を置いてください。あなたは自分の知的財産や大切なものをちゃんと守る権利があります。自己防衛も必要です。
相手をよく見て、信頼性の薄い相手にはちゃんと距離を置く。そういうことを習慣にしてしまえば、特に緊張しないで、相手との距離調節ができます。「同じ職場だから全員仲良くしなくてはいけない」などと思うことをやめると、リラックスして過ごせます。

[D]の人の性格傾向と心理分析
お気楽さんタイプです。相手との距離をどう取るか、なんて全く気にならない。常に超リラックスで上機嫌な人。最近体調を崩したと聞いていたのに、その人に会ったら「あら、痩せたじゃない?」などと言ってしまいがちな人でもあります。自分の精神状態はタフで何ものにも傷つかない一方で、周りの人は頻繁にあなたの無神経な言動にチクチクと刺されている状態にあります。

対策
ストレスという言葉をご存知ですか? 一般的に心身に何らかのプレッシャーを与える刺激の一切を指します。このストレスには、心理学では有益な「ユーストレス」と、有害な「ディストレス」の2種類があります。言ってみれば善玉ストレスと悪玉ストレスです。程よく相手に気を遣い、人と会うのに、適度に緊張感を持っている方が相手との関係は失敗なく長続きします。親しき仲にも礼儀あり、などもそんな状態を示しています。
人には気を遣わな過ぎるのもダメなのだ、とちょっとだけ心に留めておいてください。知らぬうちに、周りをブスブスと刺さないために、です。


 まとめ 

いかがですか? 対人関係の中でのリラックスは、自分1人でいるときに素敵なアロマをたいてお気に入りのソファで寝そべるのと違って、心理的対人距離を程よく保っているという条件付きであることをお忘れなく。

「ヤマアラシ症候群」という人間関係の心理的距離がよく分かるルールがあります。寒いと言って近寄りすぎると、ヤマアラシはお互いの針で相手を傷つけます。でも、離れ過ぎたら寒い。集団生活は程よい心の距離を取ることでリラックスできるのですね。


佐藤綾子 パフォーマンス心理学 博士
常に女性の生き方を照らし、希望と悩みを共に分かち合って走る日本カウンセリング学会認定スーパーバイザーカウンセラー。日本大学芸術学部教授。「自分を伝える自己表現」をテーマにした単行本は180冊以上。近著に『非言語表現の威力 パフォーマンス学実践講義』がある。