「職務専念義務」に大きく反せば懲戒も
【なの】ちなみに先生。「2. 会社が捨てるつもりで放置してある備品を持ち帰る」のも犯罪になっちゃうんですか? 捨てるものなのに?
【岩沙】会社が捨てるつもりで放置しているものだとしても、まだ社内にあるという事は会社が占有してますよね。それを持って帰るのは窃盗罪になり得ますし、例え実際に会社の占有を離れたものでも、まだ他の誰の占有下にもなく財産的価値があるものを持ち帰る行為は、占有離脱物横領罪(せんゆうりだつぶつおうりょうざい)という罪に問われる可能性があります。
【なの】今度は横領罪になっちゃうんですか……。
【岩沙】そうなんです。落し物やゴミ捨て場に捨ててある家電などを勝手に持ち帰ってはいけないのは、この占有離脱物横領罪に問われてしまうからなんですよ。1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処せられてしまいます。
【なの】例え不要なものでも、勝手にもらってはいけないんですね。まぁでも、「1. 会社のパソコンで、私用メールをする」のは、犯罪にならないようなので安心しました。
【岩沙】犯罪にはなりませんが、会社のパソコンで私用メール、最近ではSNSやネットサーフィンをするのは、労働者には「職務専念義務」がある以上、懲戒の対象になることはありえます。
【なの】懲戒? それが原因で解雇されることもあるってことですか?
【岩沙】私用メールやネットサーフィンなどの程度が職務の遂行に支障をきたすほどでなければ、解雇は行き過ぎですけど、例えば何度も注意しているのにやめないとか、改善する兆しが見られなければ、減給などの処分はあるかもしれませんね。
【なの】犯罪にならないからといって、やってよいということではないってことですね。
【岩沙】そうですね。やらない方が身の為です。