他部署との絶え間ない調整

もともと私は人見知りをするタイプで、入社してからも少人数で研究をすることが多かったので、最初はその雰囲気に慣れるのが少し大変でした。昔から分からないことがあっても積極的に人に聞けないところもありましたが、開発が本格的に始まると、とてもそうは言っていられなくなりました。

(写真上)向島さんが開発したエンジンが搭載されたICTブルドーザー「D155AXi-8」(写真下)向島さんが勤務する小山テクニカルセンタ。竣工したばかり。

エンジンの開発というのはある一方を立てると、別の一方が立たなくなることの連続です。例えば排気システムの性能を高めるだけであればいかようにもできるけれど、そうすると耐久性が悪くなったり、肝心のエンジンのパワーが犠牲になったりするわけです。その全てをターゲットに収めるためには、本当に多くの制限の中で他の開発グループと絶え間なく調整を図ることが必要なんです。

これなら上手くいくと思っても、テストをするとぜんぜんダメということもありますが、データをひっくり返して、物事をさかのぼって考え直す。それを同僚たちと議論を重ねながら、ある一定のスピード感を持って進めていくことが重要です。