入門書を買って一から勉強
エレクトロニクスの研究をしていた時は、1人の研究者が1つのテーマをもつこともあり、個人の裁量に任されて研究をすることも多かったです。新たな技術を立ち上げるということはまだ誰も歩いたことのない道を1人で歩いていくようなもので、商品化が可能かどうか分からない状況はとても不安で心細く思うこともありましたが、たとえ失敗しても後ろ向きにならずに前に進んでいこうとは思っていました。
一方でエンジンの開発というのは、決して1人ではできないものということを実感しています。
2014年からの排出ガス規制に対応するため、当初私はエンジンの排出ガス浄化システムの開発を担当しました。エンジン開発センタには大学時代からエンジン一筋のエンジニアもたくさんいますが、私の場合は書店で内燃機関の入門書を買うなど一から勉強し、試行錯誤しながら開発に携わることになりました。
職場も業務内容も大きく変わることとなり苦労することも多かったですが、新しい技術に携われることは楽しいですし、自分自身で勉強するとともに周りの人の助けも得ながら変化に真摯に前向きに対応していこうと考えています。
エレクトロニクスの研究を実施していた時以上に、エンジンの開発では失敗が許されません。目標がきっちり決まっていて、達成しないと製品を売り出すことができないからです。そして、その中ではグループの仲間たち、エンジン本体の開発グループや協力企業の方々など、本当に多くの人たちとの調整がひっきりなしに行われていくことになります。