大規模な国際舞台で大切なこと

Q これまでも、国内外で大規模なインスタレーションを数多く制作していますが、今回はどのように空間と関わりながら作品を制作しようと考えましたか?

【塩田】日本館は、展示をするにはちょっと変わった空間です。1階は吹き抜けのピロティ、2階は四角い箱のようになっていて、天井は高いけれども、面積が狭いのが特徴です。そして会期は7カ月で約55万人以上の来場者を記録する、世界でも類をみない大規模な国際展です。

赤い糸と鍵が天井を覆い、人々の記憶が空間をさまよう。
The Key in the Hand, 2015, red wool, old boats, old keys, Photo by Sunhi Mang

長い会期中に作品が壊れてはいけないし、大勢の観客のための十分な空間や導線を確保しなければなりません。そこで今回はまず、展示スペースとして天井を使おうと考えました。実際、多くの方々が途切れることなく来場しても、ゆったりと観賞してくださっています。