子どもの成長とともに話せること

2人目が生まれた03年も大手金融機関への公的資金の注入があるなど、取り巻く環境は厳しいものでした。数年間に亘る保険会社の組織変更・同時上場の案件の仕上げ時期でした。予定日の1カ月前、いつもどおり出勤しようとしたら破水したので、行き先を病院に変えて産みました。このときも最短で仕事に戻りました。その頃は、会社にいるときとその行き帰りは仕事のことだけを考え、家に帰って子どもを目の前にした瞬間から育児に専念するという毎日でした。

子どもを育てながら仕事を続けるのは確かに大変ですが、辞めようと思ったことは一度もありません。転職も考えませんでした。1つの案件をやり遂げても次があります。ここで自分がやるべき事はまだまだあると常に思っていました。

いま子どもは高3と中1になりました。日々快適な生活を用意できているわけではありませんが、親には外で働くという世界があり、その結果お給料がいただけ、毎日の生活が成り立っているということは理解していると思います。我が家は我が家、と思っているのではないでしょうか。でも、平仮名ばかりの子供の作文を見たときは「これはまずい!」と思ったことはありました(笑)。

子どもが成長するにつれて、会話の内容がだんだんと変化してきました。とくに高3の子は、政治・経済の動きや、その背景にあるものに関心が高まっていて、中1の子もそれに引っ張られている。こんな見方をするようになったのか、こんなことを言うようになったのかと思うことが増えました。

私は一足先に社会に出た先輩として、教えてあげられることもあると思っています。会社の後輩に対しても同じ気持ちです。何か小さなことでも良い、1人の人間として誰かに頼りにされれば本望です。

■白川さんのキャリア年表

1989年(22歳) 津田塾大学卒業、大和証券入社 債券部に配属
1997年(30歳) 国際引受部へ異動、第一子出産
1999年(32歳) 事業開発部へ異動
2003年(36歳) 第二子出産
2013年(46歳) 大和証券グループ本社 広報部長兼大和証券広報部長
2015年(48歳) 執行役員就任

■仕事道具
シャーペン。ザーッと記録を取るのに軽くて疲れず便利。

■ストレス発散法
スキューバダイビング。 家族全員がダイバーで定番はモルディブ旅行。

構成=Top communication 撮影=向井渉