たとえば、夢想家の面が「イノベーションを起こさなければならない」と言い、将来を想像してそのビジョンを実行に移そうとしたときに、思考家つまりリスク管理を担当するCFOの声が非常に静かであると、期待通りの結果にならないパフォーマンスギャップに陥ります。4つの人格の1つか2つだけが強すぎると後悔する行動を取ることがあります。
まず自分の内面と交渉することはリーダーシップに必要なもっとも基本的なことです。これがうまくいくと他人との交渉もうまくいきます。興味深いことに、この4つの要素が脳にも存在することがここ10年の脳科学の分野で証明されています。それはどんな人間にもこの4つの人格があるということを意味します。
この4つの人格を私はビッグ4と名付けましたが、それが同等に力を発揮したときに『360度のリーダー』になれるのです。
ビル・ゲイツがその好例ですが、彼はビジネスマンとして功成り名遂げて、人道主義者としても同じくらい甚大な影響力を持っています。これは非常に希有なことです。彼は思考家、闘士の面と恋人の面をうまくバランスをとり、ビジネスにささげるエネルギーと同じだけのエネルギーを困っている人に対してもささげています。これこそ『360度のリーダー』です。