ED治療薬の服用はタイミングが大切
【Q8】ED治療は、どのように行うのでしょうか?
【松木】問診で患者さんの希望を聞いた上で、治療法を決めますがホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬を第一選択として投与します。この薬剤は、陰茎の血管を広げ、血流をよくする薬で、性的な刺激を受けたときだけ、勃起を助け持続をサポートします。改善率(効果を得ている人)は80%以上です。PDE5阻害薬で効果が不十分だったり、重篤な副作用出現が出た場合、PDE5阻害薬が投与出来ない患者さんには陰茎海綿体注射、陰圧式勃起補助具、体外衝撃波(ED1000)などの選択肢があります。
【Q9】服用にあたって注意しなければいけないことはありますか?
【松木】ED治療薬は3種類が国内で承認されています。血管に作用する点は共通ですが、食後に飲むと効き目が現れない種類もあり、それは処方時に説明されるはずです。また、たとえ食事の影響は受けないとされる種類でも、できれば空腹時に飲むほうが望ましいでしょう。種類によって効いてくるまでの時間や、効き目が続く時間にも差があるので、処方の段階で医師とよく相談して選び、正しいタイミングで服用してください。
【Q10】万が一、効果が感じられなかったらどうすればいいでしょうか?
【松木】まず、あきらめてはダメ。実は、そういう方の多くは、飲むタイミングに問題があるケース。あるいは、偶然の体調のせいとも考えられます。数回は薬を正しく使ってみて、それでも「おかしいな」と思ったら医師に相談を。薬の用量を変えたり、専門医は他の治療法を検討することもできますから。
【Q11】ED治療薬の副作用や他の薬との飲み合わせについて教えてください。
【松木】通常、重い副作用はないとされています。なかには顔がほてったり、少しドキドキする方もありますが、血流がよくなることの影響といえるものです。
飲み合わせについては、狭心症の薬で使用されている硝酸剤(ニトログリセリン)など併用禁忌薬や使用上の注意が必要な薬剤があります。医師等の処方箋が必要な医薬品ですので、インターネットで購入したり、友達から貰ったりしたものを安易に服薬してはいけません。
【Q12】医療用のED治療薬がネット上でも販売されているようですが。
【松木】ネット販売のED治療薬は、半数以上が偽造品との調査データがあります。絶対に使用しないでください。当院にも、よく「ネットで買ったが、まったく効果がなかった」という方々がおみえになります。偽造品にだまされたことで、ED治療をあきらめたのでは、本当にもったいない。必ず医療機関で診察と処方を受けましょう。また、偽造品に効果がないだけならまだしも、死亡事故も起こっています。
【Q13】EDの自覚があっても、受診していない方々は多いと思いますが。
【松木】疲れなどのせいにして、解決を先送りしてしまっているのではないでしょうか。自分がEDだとは認めたくない気持ちもよく分かります。でも放置しておけば、悪化するばかりの可能性が高い。ご自身のため、そしてパートナーのため、早めに受診して解決なさるようお勧めしたいですね。
男の健康学<index>
第1回 EDには治療薬がある。迷わず専門医を受診し公私の「自信の回復」へ
第2回 EDとその裏側にある生活習慣病との深い関係
第3回 より幸せな日常を、二人で歩んでいくために
第4回 メタボなら要注意! 血管の老化がEDを招く
第5回 ストレスのせいでEDに!「心因性」を克服するには
第6回 高血圧症や糖尿病が招くEDの悩みを解消へ
第7回 偽造薬のリスクに近寄らず「安全・安心」のED治療を
第8回 「朝立ち」がなくなったらED?毎日の現象が示す真の意味
第9回 妊活中のカップルに降りかかる危機!「タイミングED」を乗り越える
第10回 誰にも聞けない──!? EDと治療のギモン