「EDを悲観する必要はありません」。そう力強くアドバイスするのは、浜松町第一クリニック院長・竹越昭彦先生だ。医師であると同時に、一人の男性として、日々患者の悩みと向き合う。
竹越昭彦●たけこし・あきひこ
浜松町第一クリニック院長
1966年生まれ。91年、日本医科大学卒業。同大学附属病院および東戸塚記念病院外科を経て、2004年に浜松町第一クリニックを開院。同クリニックではホスピタリティーの追求も重視している。
浜松町第一クリニックホームページ http://www.hama1-cl.jp
中年におけるEDの多くは
体力や視力の低下と同じ現象
──まず、EDとはどのような状態のことでしょうか。
【竹越】EDは「まったく勃起しない状態」だけとは限りません。程度にかかわらず勃起力が低下し、自分自身やパートナーの満足度が低下すれば、それがEDなのです。また、例えば40歳以上で早漏を感じた場合、その陰では勃起力の低下が始まっていることも珍しくありません。これは初期のEDですね。
さらに、「以前より硬くならない」「中折れする」なども含め、「若い頃のようにはいかない」状態は、全般的にEDととらえられます。つまり体力や運動能力、視力などの低下と同様に、男性の誰もが迎えることです。決して特別な病気ではありませんから、前向きに治療を考えていただきたいと思います。
──EDは老化現象ということですか?
【竹越】確かに加齢を背景とするケースが多く、そのほとんどは器質性EDと呼ばれます。直接の原因は、脳が興奮を感じても勃起の命令が伝わりにくくなることや、血管が老化して陰茎海綿体への血流が十分でなくなること。糖尿病は、その両方を助長する病気の典型です。
もう一つは心因性EDといって、緊張やプレッシャーが原因となるケースもあり、こちらは年齢に関係しません。交際して間もない恋人を前に弱気になってしまった学生さんや、奥さんの排卵日に合わせて確実な妊娠を望むあまり、プレッシャーからEDになってしまった若いご主人。このように、さまざまな方がいらっしゃいます。40代からの働き盛りとなりますと、職場でも家庭でも責任の重みが増すことから、そのストレスがEDを招くこともあります。