「まだ若いから大丈夫」と油断してはいけない。仕事などの精神的ストレスがEDを招くこともあるからだ。横浜ベイサイドクリニック院長・土居真太郎先生は、「解決策はあるので安心を」と励ます。
土居真太郎●どい・しんたろう
横浜ベイサイドクリニック院長
2001年、奈良県立医科大学卒業。大阪大学医学部附属病院、大阪府立病院(当時)、東京警察病院などへの勤務を経て、2005年より横浜ベイサイドクリニック院長。患者とじっくりと向き合う、カウンセリングを重視した診療が特色。一人一人に最適な治療の提供を心がけている。
横浜ベイサイドクリニックホームページ http://www.ybc-ed.jp
「たった一度の不調」で
心因性EDに陥ることも
──EDには心因性、つまり原因が心のなかに潜む場合もあると聞きます。
【土居】そうですね。心の原因は大きく「現実心因」と「深層心因」に分かれます。現実心因とは、一般的にストレスとかプレッシャーと呼ばれるものです。典型的な例は、「排卵日に妻から必ず迫られるのが重圧」という、子づくり世代の夫のケースですね。
そして深層心因とは、幼児期の体験や何らかのトラウマなど。ご本人にも自覚がないため解明に長期間を要し、治療も容易ではないと思います。
──仕事上の精神的ストレスも原因になりますか?
【土居】もちろんです。30代から40代へと職場での責任が増すにつれ、仕事のストレスも大きくなるでしょう。その影響で、「リタイアした60代よりも男性ホルモンの分泌量が減っている人が多い」という統計もあるほどです。男性ホルモンの減少がEDにつながることは否めません。
また40代ともなると生活習慣によっては血管壁が傷み始め、陰茎の血流が悪化し、EDを助長します。このように複合的な条件のもと、たまたま一度でも勃起が不十分だったことに不安を覚え、心因性EDとして症状が深刻化していくことも珍しくないのです。
──心の問題とはいっても、性欲自体の低下とEDとは別ですね。
【土居】性欲がなく勃起もしない、でも困らないという状態なら、ED治療も必要とされないでしょう。もし早朝勃起があり、マスターベーションはできるのにセックスは難しいのなら、まさしく心因性EDだと思われます。もし若年層で早朝勃起もなければ、よほど強いストレスにさらされている、あるいは他にEDを引き起こす心身の疾患を疑う必要もあります。