正しい知識をもって使用してこそ
治療薬は力を発揮する

──そもそもED治療を始めるべきタイミングは、どのように考えるべきでしょうか?

【大久保】人間は機械ではありませんから、いつも絶好調ということはありません。そう思って、時々不調があったとしても、まずはある程度受け入れることも必要だと思います。しかし、中折れするような状態が半年以上も続いたら、私たち医師と一緒に原因と対策を考えましょう。

ED治療薬の役割は、勃起を促進するというよりも、「勃起した状態を維持しやすくする薬」と、とらえればいいでしょう。ですから、服用しても勝手に勃起したままになることは、通常ありません。性的な刺激があって初めて勃起し、その維持が助けられるのです。

極端な高血圧、極端な不整脈、また狭心症の薬などを服用中の方は危険を伴うため、すぐに処方できない例もあります。その場合は全身状態を改善し、内科主治医と相談の後で、再度来院なさるようお勧めするなどしています。

──「クリニックには入りづらい」という気持ちから、ネット販売を利用してしまう方々もいるのではないでしょうか。

9割の人が「本物」だと思い込んでいる

【大久保】そうした気持ちに応え、当クリニックのスタッフは、もちろん男性だけです。また、決して来院を後ろめたく感じさせてしまわないよう、雰囲気づくりに配慮しているつもりです。EDの悩みについても、時間が許す限り、できるだけお話をお聞きしています。昼休みの時間帯や休日にも来院を受け付け、利便性もよくするよう努めています。

お預かりした患者さんのデータは電子カルテで管理していますが、インターネットに繋がない環境で運用しており、外部にデータが出ることはありません。ご家族を含め、本人以外からのお問い合わせに対して情報を提供することもありません。また、保険診療ではないので、通院していることが他人に知られることもありません。

とはいえ、クリニックに入ることがためらわれるのは、最初の1回だけだと思います。何もかもが初めてだった思春期の頃などは、皆さん、ドキドキする体験がいろいろあったことでしょう。それと同じようなものだと考えて欲しいですね。

EDには精神的な要因も影響しますから、正しい治療で正しい薬を正しい量、安心して服用してこそ十分な効果が得られ、症状の改善につながります。ネット販売の利用を考えている方も、心のどこかに「偽造品かもしれない」という不安や、「どうせダメもとだから」という安易な気持ちがありませんか? そこで健康リスクを冒すよりは、ぜひ思い切ってクリニックのドアをたたいてください。

男の健康学<index>

第1回EDには治療薬がある。迷わず専門医を受診し公私の「自信の回復」へ
第2回EDとその裏側にある生活習慣病との深い関係
第3回より幸せな日常を、二人で歩んでいくために
第4回メタボなら要注意! 血管の老化がEDを招く
第5回ストレスのせいでEDに!「心因性」を克服するには
第6回高血圧症や糖尿病が招くEDの悩みを解消へ
第7回偽造薬のリスクに近寄らず「安全・安心」のED治療を
第8回「朝立ち」がなくなったらED?毎日の現象が示す真の意味
第9回妊活中のカップルに降りかかる危機!「タイミングED」を乗り越える
第10回誰にも聞けない──!? EDと治療のギモン