何度やっても懲りない性格

スターバックスには上場の翌年、2002年まで在籍し、その間300店ほどのオープンにかかわりました。それだけ仕事に没頭すると、マーケッターとして付加価値を創り出していくエネルギーが枯渇し、体も気持ちも疲れてきたことを感じたのもこの頃です。ブランドとしても日本中に浸透し、次に引き継げる社員もいましたので、辞めることを決めました。その時には、次のキャリアを考える余力は残っていませんでした。

一度普通の生活に戻りたいと思ったんです。平日に友人と会って食事をしたり、映画を見たり、美術館を巡るといった生活です。母が私の退職をとても喜びました。母は私の身体を心配し、私とゆっくり話をしたり、一緒に旅行に行きたかったようです。

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中田さんのキャリア年表

1年半ほどのオフの時間で、これまで自分がやってきたことを棚卸し、これから自分が何をしたいかをじっくり考えることができました。マーケッターは様々な業務が経験できます。広報もあれば広告宣伝業務もあるし、調査や新商品開発にも携わります。そういう中で、どういうときが一番やりがいを感じ楽しかったかな、マーケッターの仕事にこだわることはなく自分で店を始めてみるのはどうかな、と色々な生き方を空想してみたんです。

でも、改めて自分のスキルの強みとマーケットの中でのスキルの需要を整理し、空想は空想で終え、05年にまたマーケッターに復帰します。英会話スクール「Gaba」のマーケティング部のディレクターです。気がつくと仕事漬けの毎日。何度やっても懲りないんですね。仕事に没頭すれば没頭するほど充実感を感じるタチのようで(笑)。

GABAの当時の社長とライフネット生命の現在の社長の岩瀬が知り合いで、マーケティングの話を時々するようになり、それが今につながっていきます。

Top communication=構成 永井 浩=撮影