PDE5阻害薬の登場で
治療は飛躍的に進歩

──EDの治療法を教えてください。

【早瀬】古くは、陰茎に直接注射をして勃起を維持させる方法や、科学的根拠に乏しい精力剤のようなものしかありませんでした。やがてPDE5阻害薬という錠剤が開発され、今日のED治療は、より確実で手軽なものに進化しています。

この薬は陰茎動脈に働き、勃起を妨げるPDE5という酵素の働きを「阻害」することで、勃起のメカニズムを支えます。決して催淫剤ではないので、PDE5阻害薬そのものには性欲を高めたり、意味もなく勃起させる作用はありません。必要なときに飲んで、適切な効き目が得られる薬です。

また、長期にわたって使用しても効果が落ちることはありません。ただし、EDの根底には血管の老化があるわけですから、それが加速しないよう、生活習慣には気をつけるべきです。

──誰でも使用することができるのでしょうか?

【早瀬】重い副作用は報告されていませんが、薬の飲み合わせには注意を要します。例えば狭心症の薬などと併用することは禁忌です。私たちは患者さんの常用薬などを確認した上で処方します。

ネットを介した個人輸入でPDE5阻害薬を購入する方もあるようですが、そういうルートの製品には偽造品が極めて多いことが調査で判明しています。PDE5阻害薬は必ず医師のもとで入手してください。医師は患者さんと相談しながら、EDの程度などに応じ、成分用量も考慮して処方します。

──患者さんが来院しやすくなるような、早瀬先生の工夫をお聞かせください。

【早瀬】泌尿器科の保険診療外来とED治療外来の受付を別々にするなど、プライバシーに配慮しています。診察に看護師は立ち会いません。薬は中身が分からない袋に入れ、院内でお渡ししています。

私からは必要最低限のことしかお尋ねしませんが、もし悩みを話してくだされば、しっかりと耳を傾けます。特に心因性EDの場合、医者が話を聞くだけで負担が軽減され、快方に向かうこともあるのです。

──ED治療を考えている皆さんへメッセージをお願いします。

【早瀬】私自身、PDE5阻害薬の処方を通じて、セックスの問題は人生において非常に大きいことを再認識しました。治療の効果に対して感謝の言葉をくださる方々も多く、それが何より喜ばしいことです。EDは克服できる時代になりました。悩むよりも、この進歩を活用し、ぜひ積極的な生き方につなげてください。

男の健康学<index>

第1回EDには治療薬がある。迷わず専門医を受診し公私の「自信の回復」へ
第2回EDとその裏側にある生活習慣病との深い関係
第3回より幸せな日常を、二人で歩んでいくために
第4回メタボなら要注意! 血管の老化がEDを招く
第5回ストレスのせいでEDに!「心因性」を克服するには
第6回高血圧症や糖尿病が招くEDの悩みを解消へ
第7回偽造薬のリスクに近寄らず「安全・安心」のED治療を
第8回「朝立ち」がなくなったらED?毎日の現象が示す真の意味
第9回妊活中のカップルに降りかかる危機!「タイミングED」を乗り越える
第10回誰にも聞けない──!? EDと治療のギモン