クルマ開発にゴールはない
私にとって約10年間の評価ドライバーとしての経験は、車両開発をする上での土台のようなものですね。
評価ドライバーを続けていると、クルマの開発というのはゴールが全くない世界であることを実感します。例えばドイツの高級車メーカーのクルマなんかに乗ると、50年前のモデルも最新モデルもしっかりとした乗り味に感動します。その度に自分たちもがんばらないといけない、とあらためて思いますよね。
今のように実際にデミオの開発をしていると、「自分たちはがんばった、うちのクルマがんばった」と感じられる瞬間が確かにあるんです。
でも、私たちが一歩一歩と進んでいると感じているその瞬間、他社のクルマもまた、同じように進んでいる。1日単位、1時間単位で「もっとこうすればよかった」と思ってばかりですが、全てのライバルが常に全速力で走っている中、自分たちもそれ以上に懸命に走り続けようとするところに、この仕事の醍醐味があると感じています。
●手放せない仕事道具
ヘルメット
●ストレス発散法
笑うこと。スキーやテニス、登山などのアウトドア
●好きな言葉
ありがとう
1974年広島県出身。大学卒業後、97年マツダ(株)入社、電子技術開発部ワイヤーハーネス設計Gr.配属。99年開発・評価ドライバーとして評価専門チームに異動し、自他銘柄車の総合商品性評価を担当。06年車両開発本部へ異動、新世代商品群の技術開発を担当。2011年より現職。
稲泉 連=構成 向井 渉=撮影