人は変われないけれど……

僕は離婚経験者なので、「恋人としては問題なくても、結婚するとなぜか傷つけ合ってしまう」関係を体験しています。それぞれの性格や経済状況、住環境などが複雑に影響して、あのような悲しい状況に陥ってしまうのだと思いますが、突き詰めれば「お互いに結婚相手を間違えた。どちらが悪いというわけではない」に尽きるでしょう。過ちはどこかで直視して正さねばなりません。

子どもや親が悲しむから簡単には別れられない? 自分が離婚の苦労や恥辱を味わいたくないための言い訳ではないですか。憎み合っている夫婦は不自然かつ非生産的です。そんな家庭環境で育つ子ども、やせ我慢をして表情が虚ろな息子や娘を見なくちゃいけない親のほうが不幸だと思います。

殴り合った末に離婚をしても、「自分は結婚に向いていないのではないか。次の相手とも傷つけ合ってしまう気がする」などと心配する必要はありません。あなたの体が「こういう人とだけは結婚してはいけない」と痛い思いをして学習していますから、次の結婚はきっと心地良いものになるはずです。暴力の「ぼ」の字も思いつかないような仲のいい夫婦になることでしょう。人は変われませんが、パートナーは替えることができるのです。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/