現場に性別は関係なし!

現場の仕事の醍醐味は、本当に何もない更地に建物を実際につくっていく、という手応えがあることです。つい3カ月前は何もなかった敷地に、人の力で住宅が建てられ、いまは家族が住んで生活を送っている。何度経験しても、それはすごいことだなって純粋に思うんです。とりわけ30軒くらいの分譲住宅などを担当すると、それこそ小さな街ができていくわけですから。

それに異動した後も、3年間にわたって現場を学んでいたことが、図面を引く上でとても役に立ちました。お世話になった職人さんにアドバイスを直接もらい、現場の声を踏まえながら設計に携われることは、仕事をしていく際に私の大きな強味になったと感じています。

そしていま、賃貸住宅の現場に戻って働いていると、自分も知識と経験をそれなりに積むことができているんだなと感じます。今度は職人さんたちとのやり取りもかなり早い段階からスムーズになりましたし、毅然とした態度で仕事に臨むことができたんです。現場に入ったら男性も女性も関係なく働く、という感覚を抱けるようになってきました。

今後、大和ハウスでも女性の現場監督がさらに増えていきます。しかし、しばらくの間は、この世界が男性中心の職場であることに変わりはないでしょう。だから、その誰もが最初は私のように壁にぶつかるはずです。

そんなとき、最初から無理だと諦めずに、とにかく自分にできることをやる。それが仕事なんだ、という自負を持って立ち向かう。後輩たちにはそんなふうに自分で道を切り開いていくことの中から、自信を身につけていって欲しいと思っています。

●手放せない仕事道具
手帳、メモ、デジカメ、巻尺、子どもの写真。現場で気づいたことはすぐにメモを取る習慣がある。

●ストレス発散法
車で海に行き、子どもと砂浜で遊ぶこと

●好きな言葉
明日は明日の風が吹く

大和ハウス工業 横浜北支店 集合住宅工事課 日下淳子(くさか・じゅんこ)
1974年宮城県出身。97年東北工業大学 建築学科卒業後、大和団地(現・大和ハウス工業)入社 東北住宅営業所 住宅工事課に配属。2000年仙台木造住宅営業所 設計課。01年大和ハウス工業 仙台木造住宅営業所 設計課。その後、関東木造支店・技術本部などで分譲住宅や街づくりなどの設計に携わる。08年横浜北支店集合住宅工事課。11年からの育児休業を経て13年より現職。

稲泉 連=構成 向井 渉=撮影