女語では、「そうなんだ」で終わってしまう
一方、男性の共通言語である「男語」はどうでしょうか? 上記と同じ内容を、男性はこんな風に説明する場合が多いと言います。
「我が社では、ついに女性従業員の育休取得率が97%となり、うち87%が復帰し、昨年の復帰者は103名となりました。
そして、この103名に復帰半年後に聞き取り調査を敢行したところ、83%が『わが社の両立支援制度に満足』と回答しました。制度を拡充した効果は出ています。しかし、今後の課題は育休明けの女性従業員の“戦力化”です。復帰者の67%が時短勤務を取得し、64%が中間部門に所属しています。年内には、この中間部門にいる女性従業員をフロント部門に20%増やすことを目標にすべきです」
といった具合です。
果たして、どちらが、聞き手にとって「課題」を見付けやすく、その解決のための「打ち手」が考えやすいでしょうか?
結果は、悔しいかな、「男語」だと、彼女は言います(私も同感です)。
片や「女語」の説明では、聞き手は「へえ、そうなんだ」としか反応できません。
彼女は、現象面だけを語る「女語」を羅列するだけでは、男性陣から「こいつら商売できねえなあ」と思われても仕方がないと言います。
もうお気づきだと思いますが、「男語」の特徴は、ファクト(事実)と数字を私見を交えずに話すこと――に尽きます。
彼女は、男性の「ファクト好き」について、こう教えてくれました。
「アナタの周りに、小説は『作り話』だから興味がなく、ノンフィクションしか読まないという男性はいない? 一方で、女性は小説を好むでしょ。
男性はスポーツという『今そこにある事実』で泣けるけど、女性は同じスポーツでもたとえば浅田真央選手がどんな苦難を乗り越えて記録を出したなど、その背景にある『物語』に泣く。
男性は『事実』に基づいた『大河ドラマ』は好きだけど、『作り話』が多い『朝の連続テレビドラマ小説』はさほど好まない。
これぞ、まさに男性と女性の違い。男性はトコトン、ファクトが好きでファクトしか信じない。 よく、ビジネス書で語られる『論理的な話し方』とはつまり、ファクトと数字をベースにした『男語』のことなのよ」
そして、彼女は、女性陣もこの「男語」をマスターしない限り、予算を付けて貰うこと、決済を貰うことは不可能だというのです。