「~くらい」「約」は禁止!
たとえば、「男語」を駆使した、予算を決済して貰う話し方とはこうです。
「現状、私が担当する○○部門の売上は前年同期比12%増しですが、利益率は8%の上昇に留まっています。
その理由として考えられるのが競合のB社の追い上げです。B社は、前年同期比24%の売り上げ増を記録しており、来期にはさらに12%の増加が見込まれます。
仮にB社がこのまま好調を続ければ2015年3月期には、我が社とシェアが逆転する懸念がございます。
そこで私は、本日、△のテコ入れを提案します。予め、C社とD社とE社に提案と見積もりを提出してもらったところ、D社の提案が集客率37%を見込め、1人当たりの経費は17円という概算でした。
従って、私はD社案がいいと思います。皆さん、いかがでしょうか?」
どうでしょうか? こうした話し方をすれば、聞き手は思わず「その案でいいんじゃない」と肯定してくれる可能性は格段に上がると言います。
ちなみに、例文では12%とか37%とか、かなり細かい数字を出していますが、それもまた重要なポイントだそうです。
「私の経験で言うと、男性は『だいたい30%くらい』とか『約2割』といったあいまいな数字を嫌う傾向がある。だから、たとえ間違っていても『37%』と言い切るべき。そうでないと、話の信頼感がなくなるからね。後で見直したら、本当は34%だったとしても誤差の範囲。気にしないほうがいい」
悔しいですが、現状の日本の会社でビジネスを仕切っているのは男性です。
特に、予算や決済がからむ重要な話の場合は、数字と事実を、私見を交えずに話すことに留意したほうがいいかもしれません。
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。