産みたくない人は少数派
数値目標は、国、自治体や企業の対策に設けることはできないだろうか。出産ではなく、出産支援にノルマを設ける。例えば「家族関係社会支出の対GDP比を何年かかけてフランス等と同程度にする」などだ。あるいは、雇用形態による格差が結婚、出産ができない若者を増やしているのなら、非正規雇用で働く人の賃上げに数値目標を設ける。
日本では、産みたくないという人はまだそんなに増えていないので、しっかりと求められている対策がとれれば出生数は回復するはずだ。国立社会保障人口問題研究所の「第14回出生動向基本調査」(2011年)によると理想の子どもの数は2.42人で人口が増えていた時代とさほど変わらない。
産みたい人が産めていない理由は何かというと、ほとんどの調査で、経済的不安がトップになっている。
今年3月に内閣府が報告した「家族と地域における子育てに関する意識調査」も、結婚したい未婚男女に今後結婚する条件を聞いた質問では、出会いと並んで「経済的に余裕ができること」がトップ(47.7%)になり話題となった。
「第14回出生動向基本調査」では、予定子ども数が理想子ども数を下回る人の理由として6割(60.1%)の人が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」を理由にあげ、他より圧倒的に多かった。特に20代夫婦では8割を超えた。
内閣府の調査も繰り返しおこなわれているが、こちらもいつも経済的不安が圧倒的に大きいという結果になっている。男女が回答している「子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査」(2013)では、子どもを持つ不安で一番多かったのは「経済的不安の増加」で全体の7割(70.9%)を占め、最も大きな経済的不安は高等教育の費用だった。2位以下には「仕事と生活・育児の両立」(45.9%)、「不安定な雇用、就業関係」(42.2%)、「保育所などの保育サービスの不足」(35.3%)、「出産年齢、子どもを持つ年齢」(33.5%)など、さまざまな理由が並んだ。