3人以上産みたい人が6割
一方、「男女アンケート 何が少子化に効くか」(http://president.jp/articles/-/11912)でも以前に紹介した「助産雑誌」編集室と私のインターネット調査では、国の調査のように回答者属性を調整していないので、働く女性の声が多く集まりまた違う様相を見せた。
有効性が強く感じられている少子化対策は、雇用形態、性別、そして子どもの人数で大きく違った。
まだ子どもがいない人、正規雇用の人、女性だけで見てみると、「保育所」「長時間労働の緩和」「育休制度」など仕事と育児の両立支援が経済的支援より重要だと感じられていた。「長時間拘束、休日返上が当たり前で、とても子育てできる時間がとれるように思えない」といった時間の問題や、出産後の職場における立場の変化を悩んでいる人が多かった。
派遣・契約社員の人は、「雇用形態による差別がない対策をしてほしい」と育休制度を求める声が非常に強かった。正社員以外の人はパートの女性も含め女性でも経済的支援を求める声が強かった。
その一方、男性、現在の子ども数が多い人、欲しい子どもの数が多い人では「高等教育無償化」「児童手当の高額化」「税制の優遇」などが上位になり、前出の国の調査のように経済的支援が重視されていた。「児童手当」はそれが有効だと感じている人に「少子化対策として効果がある金額の最低水準は」と聞いてみたところ、92%が現在を上回る2万円(月額)以上の金額を選び、最多は3万円(38%)だった。
子どもへの壁はみんな違うので、支援メニューは多様でなければならない。
もし、自分が求める支援が得られたら子どもは何人欲しいかという質問では、「3人」という答が最多になり、4人、5人以上と答えた人も合わせると全体で6割の人が3人以上欲しいと答えた。現在の状況下では「2人」が最多だったが、増やした人が多かった。
子どもたちのためにも早く本格的な支援を開始し、産みたい人数を安心して産める国になってほしい。
出産、不妊治療、新生児医療の現場を取材してきた出産専門のジャーナリスト。自身は2児を20代出産したのち末子を37歳で高齢出産。国立大学法人東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院、日本赤十字社助産師学校非常勤講師。著書に『卵子老化の真実』(文春新書)、『安全なお産、安心なお産-「つながり」で築く、壊れない医療』、『助産師と産む-病院でも、助産院でも、自宅でも』 (共に岩波書店)、『未妊-「産む」と決められない』(NHK出版生活人新書)など。 http://www.kawairan.com