診断まで何年もかかることも
慢性疲労症候群の患者さんが診断を受けるまでに、何年もかかることがあります。
なぜ、慢性疲労症候群の診断にはこれほど時間がかかるのでしょうか。先ほどのCさんのケースを振り返りながら、「診断を阻む3つの壁」を見ていきましょう。
【第1の壁】検査で異常が出ない
血液検査も画像検査も正常値。そうなると医師は「問題なし」と判断し、患者さんは「気のせいかもしれない」と思い込まされてしまいます。
誤解のないようにお伝えすると、この医師に悪意はありません。
ただ、通常の検査項目では慢性疲労症候群の体内の異常を捉えられないだけです。
Cさん自身も「検査が正常なのだから病気ではないのかもしれない」と思い、しばらくの間、症状を医師に伝えることさえ躊躇してしまいました。
国際的によく用いられる診断基準では、「6カ月を超えて続く活動能力の低下を伴う強い疲労」「労作後の症状悪化(PEM)」「眠っても回復した感じがないこと」に加え、「認知機能の低下」または「立っていると症状が悪化する起立不耐症」が必要です。症状の頻度や重さ、ほかの病気の有無も確認します。通常の検査で異常が出ることは必須ではありません。
うつ症状が併存することもある
【第2の壁】症状が多様すぎる
慢性疲労症候群の症状は多岐にわたります。
倦怠感・睡眠障害・思考力の低下・痛み・自律神経の乱れ――これだけ多くの症状が重なると、複数の診療科をたらい回しにされます。
内科で「問題なし」、神経内科で「異常なし」、心療内科で「うつかも」……ほとんどの科が「自分の専門外」と判断してしまいがちです。Cさんも「どこに行けばいいのかわからない」という状態が1年以上続きました。
「うつかも」という診断は特に注意が必要です。
慢性疲労症候群の患者さんの中には、うつ症状や不安症状を併せ持つ方もいますが、その割合は研究や評価方法によって異なります。
これらは、長引く体調不良や生活上の制約に伴って二次的に生じることがあります。ただし、すべてが発症後に生じるわけではなく、以前からの精神疾患が併存する場合もあります。
慢性疲労症候群と、うつ病は別の病気です。うつ病による疲労との鑑別と、併存するうつ病の評価・治療を丁寧に行う必要があります。
うつ病が併存する場合にはその治療も大切ですが、慢性疲労症候群そのものへの対応も必要です。

